イラン戦争と在日米軍基地の深い関係―このまま自由に使わせていいのか?

開戦から1ヵ月が経ったイラン戦争は、停戦か、さらなるエスカレートか、という重大な局面を迎えている。この戦争には、日本の基地に配備されている米軍部隊も多数参加している。アメリカは日本政府や日本国民の意思とは関係なく、自由に在日米軍基地をイランでの作戦のために使用しているが、本当にこれでいいのだろうか?
布施祐仁 2026.03.31
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地上戦という「地獄の扉」を開けるのか

 米中央軍は3月29日、長崎県の佐世保を母港とする米海軍の強襲揚陸艦「トリポリ」が中東地域に到着したと発表した。 

 同艦に乗っているのは、沖縄に駐留する第31海兵遠征部隊(31MEU)、約2500人だ。ステルス戦闘機F35B(ライトニングⅡ)や輸送機MV22(オスプレイ)などの航空機や上陸用舟艇も搭載している。

 米国はイランに対し、核開発計画の放棄やミサイルの制限、ホルムズ海峡の開放などを条件とする「和平案」を提示。イランがこれを受け入れなければ、これまで以上に強力な攻撃を加えると脅している。この攻撃オプションの中には、地上侵攻も含まれている。   

中東海域に向かってインド洋を航行する米強襲揚陸艦「トリポリ」(米中央軍がXにポスト)

中東海域に向かってインド洋を航行する米強襲揚陸艦「トリポリ」(米中央軍がXにポスト)

 米紙ワシントン・ポストは3月28日、米軍が数週間にわたる地上作戦の準備を進めていると報じた。イラン最大の原油積み出し拠点があるペルシャ湾のカーグ島やホルムズ海峡に面した島を占拠する案などが検討されているという。米国がこうした作戦に踏み切った場合、第31海兵遠征部隊が投入される可能性が高い。

 イランのガリバフ国会議長は3月29日に発表した声明で、「われわれの戦士たちは、米兵が地上に降り立つのを待ち構えており、彼らを焼き尽くすつもりだ」と警告した。

 米軍によるイラン攻撃は、これまでは空爆にほぼ限定されていた。しかし、地上作戦を開始するとなると、戦闘は泥沼化する可能性が高い。そうなれば、戦争は長期化し、原油の9割以上を中東に依存する日本はもちろん、世界中が深刻なエネルギー危機に陥ることとなる。

 米国は地上戦という「地獄の扉」を開けてしまうのか――開戦から1カ月が経過したイラン戦争は重大な分水嶺を迎えている。

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三沢、横須賀、佐世保、沖縄から出撃

 沖縄から中東地域に派遣された第31海兵遠征部隊は、米海兵隊の7つの海兵遠征部隊で唯一、海外に常時前方展開している有事即応部隊である。アジアや中東で緊急事態が発生した際に迅速に対応できるよう、沖縄に配備している。

 中東地域に派遣される直前には、南西諸島での有事を想定した日米共同訓練「アイアン・フィスト26」にも参加し、陸上自衛隊水陸機動団と共に島に強襲上陸する訓練などを行った。ここで訓練したことを、ホルムズ海峡やペルシャ湾の島で実践することになるかもしれない。

 日本に配備されている米軍部隊が、対イラン作戦(「エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦」)に投入されるのは、これが初めてではない。

 米国防総省の画像配信サイト「DVIDS」は3月3日、神奈川県の横須賀を母港とするミサイル駆逐艦「ミリウス」が中東地域で巡航ミサイル「トマホーク」を発射する写真を配信した。同じく横須賀を母港とするミサイル駆逐艦「ジョン・フィン」も、対イラン作戦に加わっていることが明らかになっている。

横須賀を母港とする米海軍ミサイル駆逐艦「ミリウス」がイランに向かって巡航ミサイル「トマホーク」を発射(米国防総省画像配信サービスDIVIDSより)

横須賀を母港とする米海軍ミサイル駆逐艦「ミリウス」がイランに向かって巡航ミサイル「トマホーク」を発射(米国防総省画像配信サービスDIVIDSより)

 開戦初日の2月28日にイラン南部ホルムズガン州の女子小学校に撃ち込まれ、児童や学校職員ら170人以上の命を奪ったのも米軍のトマホークだったとみられている。もしかしたら、横須賀から出撃した米艦船が発射したトマホークだったかもしれない。

 さらに、青森県の米空軍三沢基地に配備されている戦闘機(F16)部隊も中東地域に展開していることが明らかになっている。

 日本はこの戦争の直接の当事国ではないが、米軍への基地提供を通じて間接的に米国の戦争遂行を支援していると言える。

 日本でこのことがあまり問題とされていないことに、私は強い違和感を抱いている。

国際法違反の軍事行動は「日米安保条約違反」

 スペインのサンチェス首相は、米国・イスラエルによるイラン攻撃を「国際法違反」と批判し、国内の米軍基地のイラン作戦への使用を拒否した。基地使用だけでなく、イラン攻撃に関与するあらゆる米軍機の領空進入も拒否している。

 スペインの首相が批判した通り、今回の米国・イスラエルによるイラン攻撃は明らかに国際法違反だ。

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  • 骨抜きにされている「事前協議制」
  • 侵略と戦争犯罪に加担しないために

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