イタリアが米爆撃機の着陸を拒否できた理由――なぜ日本にはできないのか? 背景に「地位協定」の大き過ぎる違いが
米国との協定に基づき着陸を拒否
イタリア紙「コリエレ・デラ・セラ」によると、イタリア国防省がシチリア島の米海軍シゴネラ基地を中継して中東に向かう予定だった米爆撃機の着陸を拒否したという。
イタリア国防省が着陸を拒否したのは、その米軍機がイタリアやNATO(北大西洋条約機構)加盟国の防衛のためではなく、イランに対する軍事作戦のためにシゴネラ基地を使用しようとしていたからである。
報道を受けて、イタリアのクロセット国防大臣は、こう説明した。
「国際協定は、(米軍基地の使用について)政府の特別な承認を必要とするもの(そのためには常に議会を関与させることを決定している)と、協定に含まれるため技術的に承認済みとみなされるものを明確に規定し、区別している。(中略)大臣の役割は、それらを遵守させることだけだ」(3月31日、SNS「X」へのポスト)
「国際協定」とは、1954年10月20日に締結された「施設(基地)に関する二国間協定(BIA)」を指す。
同協定は公式には非公表とされているが、内容の一部はすでに明らかになっている。
同協定第2条は、「米国政府は、合意された施設をNATOにおける義務を履行するためにのみ利用し、いかなる場合においても、NATOの決定に基づく場合、またはイタリア政府との合意による場合を除き、攻撃的な目的のために使用しないことを義務付ける」と規定している。

イタリアのシチリア島にある米海軍シゴネラ基地(米国防総省画像配信サービス「DIVIDS」より)
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NATOは基本的に、加盟国に対する武力攻撃を全加盟国に対する武力攻撃とみなし、集団で防衛することを目的とする「防衛同盟」である。「NATOにおける義務」とは、加盟国の防衛である。
しかし、今回の米国の対イラン軍事作戦は、イランによるNATO加盟国への武力攻撃を受けて行われているものではないし、NATOの決定に基づくものでもない。
よって、BIA第2条の規定に基づき、米国はイタリア政府の同意がなければイラン攻撃のためにイタリア国内の基地を使用できないことになる。
イタリア政府は、NATOの目的を超える他国への攻撃のための基地使用に同意を与えるには、議会の承認が必要との立場をとっている。
なお、前記のクロセット国防大臣の説明にある「協定に含まれるため技術的に承認済みとみなされるもの」とは、補給などの後方支援や情報収集などの活動を指す。これらについては、イタリア政府が事前承認しているとみなされている。
実際、米国によるイラン攻撃開始後、イタリア国内の米軍基地では空中給油機や偵察機の飛来が増加していた。しかし、今回は爆撃機という攻撃用の航空機だったため、イタリア国防省は着陸を認めなかった。