【ASEANウォッチ①】ジャカルタのASEAN本部で「東南アジア友好協力条約(TAC)」締結50周年記念式典が開かれる
私は、これからの日本の外交安全保障は米国追従から脱して多角化していくこと、とりわけASEAN(東南アジア諸国連合)との連携が重要だと考えています。しかし、日本のマスメディアも政府と同様に「日米同盟基軸思考」に囚われているせいか、日本ではASEAN関連の報道は極めて少ないのが現状です。
そこで本ニュースレターでは、【ASEANウォッチ】と題して、日本のマスメディアが報じないASEAN関連の情報を随時お伝えしていこうと思います。
では、【ASEANウォッチ】の初回記事をお届けします。
インドネシア・ジャカルタにあるASEAN本部で8日、「東南アジア友好協力条約(TAC)」締結50周年記念式典が開催された。
同条約はベトナム戦争終戦翌年の1976年にインドネシアのバリ島で開かれた第1回ASEAN首脳会議で採択され、ベトナム戦争後の東南アジアにおける永続的平和と安全を確保するための地域協力の方向性を打ち出したものである。
その基本原則は、次の6つである。
すべての国の独立、主権、平等、領土保全及び主体性の相互尊重
すべての国が外部から干渉され、転覆され又は強制されることなく国家として存在する権利
相互の国内問題への不干渉
意見の相違又は紛争の平和的手段による解決
武力による威嚇又は武力の行使の放棄
締約国間の効果的な協力
一言でまとめると、互いの主権や主体性を尊重し合い、意見の相違や紛争は武力ではなく対話によって解決し、戦争のない「平和共存」の地域秩序を構築するということだ。
当初の締約国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5カ国(当時のASEAN加盟国)だったが、その後、東南アジアのすべての国が加わった。さらにASEANはこの条約を域外国にも開放し、今や締約国は62カ国に広がっている。
日本も2004年に参加した。米国、中国、ロシアも参加している。7月にはスウェーデン、ポーランド、ルーマニア、リトアニアが新たに参加した。
50周年記念式典では、ASEANのカオ・キム・ホン事務総長がスピーチを行った。
日本ではまったく報道されなかったが、今の世界を見るうえでとても重要な内容だと思うので紹介したい。

8月8日にジャカルタのASEAN本部で開かれた東南アジア友好協力条約(TAC)締結50周年記念式典(ASEANウェブサイトより)
【「東南アジア友好協力条約(TAC)」締結50周年記念式典でのカオ・キム・ホンASEAN事務総長のスピーチ】
ご列席の皆様、50年前、ASEANの創設者たちは、国家間の関係を規律する地域的な行動規範の基礎としてTACを採択するという、大胆かつ熟慮を重ねた、そして先見の明に満ちた決断を下しました。彼らは、永続的な平和と協力は、相互尊重、主権平等、不干渉、武力不行使、紛争の平和的解決を通じてのみ維持され得るものであると認識していたのです。
これらの中核的な原則は、50年にわたりASEAN加盟国間の関係と協力を導いてきました。また、現在世界中のあらゆる地域から62の締約国が参加しているという事実を踏まえれば、これらの原則は、地域および世界全体におけるASEANとパートナー諸国との関係を形作っています。