台湾に近い先島諸島に日米の軍事アセットを大規模展開 「キーン・ソード27」が想定する戦争とは

今月19日から始まる日米共同統合演習「キーン・ソード27」。今回の最大の特徴は、台湾に近い沖縄・先島諸島に日本本土や沖縄本島から自衛隊と米軍のアセットを大規模に展開することです。このねらいを読み解きます。
布施祐仁 2026.10.09
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 自衛隊と米軍の国内最大規模の共同統合演習「キーン・ソード」(鋭い剣)が、今月19日から29日まで全国各地および日本周辺海空域で実施されます。

 この間、沖縄の地方紙(沖縄タイムスと八重山毎日新聞)から取材を受け、談話が掲載されました。しかし、紙幅の都合で省かざるを得なかったこともあるので、ロングバージョンを私のニュースレターで発信することにしました。

 今回は、沖縄・先島諸島(与那国島、石垣島、宮古島)での演習について書きます。

与那国、石垣、宮古に日米共同調整所を開設

 キーン・ソードは隔年で実施されている自衛隊と米軍の全ての軍種が参加する大規模な軍事演習です。

 前回(2025年)の自衛隊からの参加人数は約3万3000人でしたが、今回は約4万5000人と大きく増えています(米軍からの参加人数は、前回は約1万2000人、今回は未発表)。

 演習内容は、前回と同様、南西地域が前線となる事態を想定したものとなっています。

 先島諸島では、陸上自衛隊与那国駐屯地、石垣駐屯地、宮古駐屯地、保良訓練場に「日米共同調整所」(前線における自衛隊と米軍の共同指揮所)を開設し、机上訓練(シミュレーション)を実施します。

 机上訓練ですが、有事の際に用いる予定の各種アセット(装備)を実際に展開し、それらと連携して作戦をシミュレートします。

 今回は、日本本土や沖縄本島から先島諸島に展開する日米のアセットの規模がこれまでとは桁違いです。ミサイルや防空システム、電子戦装置など有事の際に用いると推定されるほぼ全てのアセットを先島諸島に持ち込みます。

 輸送には日米の揚陸艇やPFI船舶(ナッチャンNEO、はくおうⅡ)、日米の各種輸送機などが用いられ、民間空港・港湾を使用します(与那国島では与那国空港と久部良漁港、石垣島では石垣空港と石垣港、宮古島では宮古島空港と平良港)。

 一部の訓練は、有事における実際の作戦を想定し、駐屯地の外でも実施します(「生地訓練」という)。宮古島、石垣島、与那国島の間に軍事用の通信回線を構築するため、石垣島の前勢岳展望台、与那国島の東崎展望台、立神岩駐車場に通信用の装置を展開する予定です。

与那国島に展開予定の自衛隊と米軍のアセット(出典:防衛省作成の説明資料)

与那国島に展開予定の自衛隊と米軍のアセット(出典:防衛省作成の説明資料)

石垣島に展開予定の自衛隊と米軍のアセット(出典:防衛省作成の説明資料)

石垣島に展開予定の自衛隊と米軍のアセット(出典:防衛省作成の説明資料)

宮古島に展開予定の自衛隊と米軍のアセット(出典:防衛省作成の説明資料)

宮古島に展開予定の自衛隊と米軍のアセット(出典:防衛省作成の説明資料)

与那国に初めて日米の対艦ミサイルを展開

 昨年10月に開かれた日米防衛相会談で、小泉防衛大臣とへグセス国防長官は「より高度かつ実践的な共同訓練」を特に南西地域で拡充する方針を確認しました。今回の訓練規模の拡大は、まさにこの方針を具体化したもので、「実戦」に近い総合的な内容となっています。

 米軍はこの地域で戦争が発生した場合、敵のミサイル攻撃などに対して脆弱な基地に兵力を集中するのではなく、南西地域の島々に兵力を分散させて自衛隊と共同で作戦をおこなう構想です(海兵隊の「遠征前進基地作戦(EABO)」など)。南西地域全体を基地とみなして作戦拠点として使おうと考えているのです。

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続きは、1537文字あります。
  • 緊張激化は必至 偶発的な衝突のリスクも
  • 優先すべきは中国との関係正常化では?

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